ニューヨークタイムズ社とオープンAIの著作権訴訟ってどういうこと?

代表弁理士 宮川 壮輔

先日、アメリカのニューヨークタイムズ社が
オープンAIとマイクロソフトを提訴しました。

舞台はアメリカですd(^_^o)
理由は、オープンAIとマイクロソフトが
AIの学習用に、
ニューヨークタイムズ社の記事を
許可なく使用し著作権を侵害している、
というものでした(`ε´)

ついに、大手が動きましたね。
今までも、この手の訴訟はアメリカで
ありました(°°)
作家などがオープンAIを提訴しています。
でも、大手メディアとしては、
初めての訴訟となりますね
(°0°)
結果はどうなるかまだ分かりませんが、
世界的にも注目の訴訟になりそうです。

ちなみに、日本だったらどうなるか?

以前、著作権とAIについて
お話ししましたが、
まずは、全体像を把握した方が
良いですね(@_@)

著作権とAIの問題を考えるときは、
以下の2つの段階を認識してください。

(1)生成
(2)利用

今回は、事業者が生成AIに学習させる
ときの場面ですから、
“(1)生成”の場面ということですね。

その上で、論点を把握しましょう。
以前お話ししたように、
著作権とAIについての論点は、
大きく4つに分けることができます(^o^)

AIと著作権の関係ってどうなってるの?Part7簡単に解説します。

今回は、1つ目の論点であって、
再掲すると、以下のとおりです。

●論点1:事業者は学習用プログラムへの
入力段階で他者データの著作権を
侵害するか?


上記の“事業者”というのが、
オープンAIとマイクロソフトのことで、
“他者”というのが、
ニューヨークタイムズ社のことです。

日本では、この論点を判断するとき、
著作権法30条の4の適用の可否が
主たる問題の一つとなります(^_^)b

30条の4というのは、
例外適用の条文ですので、
この条文に該当する場合は、
事業者は、著作権者の許可なく
著作物を利用することができます。

30条の4を簡単に言うと、
以下の2点が重要です。

(1)享受目的の有無
・自分や他人が楽しむことを
目的としない場合には、
事業者は著作物を
利用することができます。

(2)不当に害するか
・著作権者の利益を不当に害する
こととなる場合には、
事業者は著作物を
利用することができません。


日本では、
「機械学習パラダイス」と言われていて、
生成段階においては、
30条の4が適用されて、
事業者は著作物を
利用することができる、
と判断される可能性が高かったんですね。

それでも、上記のような(1)享受目的の有無や
(2)不当に害するか、によっては、
30条の4の適用の可否が
別れるところではありました(@_@)

でも、これら(1)と(2)の条件については、
まだまだこれからの議論によらないと
不明確なところも多分にあります(>o<)

そこで、文化庁が少し踏み込んだ例として、
「AIと著作権に関する考え方について(素案)」
を公表しました。
「AIと著作権に関する考え方について(素案)」


これだけで、全てがクリアになったとは
言えませんが、現状の論点整理や
考え方の案が示されていますφ(.. )

冒頭のニューヨークタイムズ社の提訴が、
日本だったらどう判断されるかは、
やってみないと分かりません(^_^;
今までだったら、30条の4が適用されて、
ニューヨークタイムズ社の敗訴となって
いたかもしれません。
でも、経済的な影響の大きさ
なども勘案すると、
今後はどうなるか分かりませんね。
AIと著作権の問題は、
AIによる社会システムやビジネスモデル
などの大きな問題でもあります
(°0°)
そのため、アメリカの司法の判断には
大いに注目したいところですね(^o^)


それでは、続きはまた次回。


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●●今回のネオフライト奥義●●

・大手メディアがAI関連で提訴!
・オープンAIとマイクロソフトの訴訟!
・AIと著作権の問題の行方!

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