第323回:東京オリンピックのエンブレムの知財問題とは?

 

こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔です。

さて、前回、知財のマッチングについて

お話ししました(^0^)

今回は、エンブレムのお話し。

なんか、最近、東京オリンピックのエンブレムが

ベルギーのデザイナーが作った劇場のロゴマークに

似てるとか似てないとか、問題になってますね。

 

 

報道などでは情報が錯綜してますね(>_<)

確かに、不慣れな人には分かり難いですな。

実を言うと、専門家にだって分かり難いです(ーー;)

いろんな法域が錯綜していて、

一筋縄ではイカンですな。

ここは一つ、状況を整理してみたい。

まず、マネすることは、原則自由です。

このスタンスからスタートしよう(^_^)b

そう、マネるのは、原則自由です。

ただし、知的財産などによって守られている場合には、

例外として、マネしてはいけないってことになります。

ということは、ベルギーのロゴが、

知財によって守られてるかどうかが、まずは問題ですな。

今回、対象となる知財は、以下の3つです(^O^)

(1)商標権

(2)不正競争防止法

(3)著作権

つまり、この3つのどれかによって守られてるってことが

ベルギー人が主張する侵害の前提となりますね。

ここまでは、まあシンプルな構造ですp(^_^)q

情報が錯綜するのは、ここからですな(>o<)

前提として、以下の2点について、

知っておく必要があります(^o^)

(A)保護のために登録が必要か

(B)権利は国境を越えるか

まず、(A)保護のために登録が必要か、についてです。

結論を言うと、(1)の商標権のみ登録が必要です。

違う表現をすると、

商標権侵害を主張するには、

商標の登録が必要です、ということですな(^.^)

まとめると、以下の通りです。

(1)商標権・・・登録が必要。

(2)不競法・・・登録は不要。

(3)著作権・・・登録は不要。

次に、(B)権利は国境を越えるか、についてですな。

原則として、権利は国境を越えません。

ただし、例外として、条約加盟などによって

国境を越えることがあります。

今回の知財3つのうち、国境を越えるのは、

(3)著作権のみです(*_*)

改めてまとめると、以下の通りです。

(1)商標権・・・登録が必要。国境越えない。

(2)不競法・・・登録は不要。国境越えない。

(3)著作権・・・登録は不要。国境越える。

う~ん、この前提を整理して、

ようやく話ができる感じになりますな( ̄^ ̄)ゞ

(1)商標権について

ベルギー人が主張する上で、

商標権は国境を越えないってことは、

日本で商標”登録”されていることが前提です。

これについて、ベルギーの劇場ロゴは

日本で商標登録されていないようですので、

商標権侵害の主張は、あり得ません。

バッサリと斬れますね(^_^)b

(2)不競法について

これも、国境を越えないってことは、

日本での話しが前提です。

しかも登録不要ですよね。

ただし、不競法の場合、

ベルギーの劇場ロゴが、日本で有名であることが必要です。

これについては、そんな劇場ロゴなんて誰も知りません。

なので、不競法による主張もほぼないです。

これも、バッサリ斬れます(^○^)

(3)著作権について

こいつは、登録は不要だし、国境も越えてきます。

ということは、ベルギーで生じた著作権でも、

日本に効力を及ぼしてきます(°0°)

なので、ベルギー人が主張するとしたら、

著作権侵害しか、ほぼあり得ないです。

マスコミなどで、商標侵害とかなんとか言ってたとしたら、

間違いですので、踊らされないようにしたいですな。

ただし、著作権侵害と言うためには、

主として以下の2つが条件となります。

(ア)相手が、自分のロゴをもとにしたこと。

(イ)相手のロゴと、自分のロゴが似ていること。

日本人デザイナーが、

「ベルギーの劇場ロゴの存在を知らなかった」

と言ってますね。

これは、著作権上、

”劇場ロゴをもとにして作っていない”

ということで、上記(ア)の条件を外すためのコメントですね。

もちろん、本当に知らなかったかもしれないです。

また、肝心のロゴの類似について。

まあ、結論から言えば、

”似てない”ってことになると思います。

非類似ってヤツです。

そうすると、

(ア)相手は、自分のロゴをもとにしてなさそうだし、

(イ)2つのロゴは似てないので、

ベルギー人の著作権侵害の主張は、

おそらく通らないでしょう。

ただし、争いを終わらせるために、

和解金で解決するというのは、あり得る。

そうなると、ベルギー人の思惑通りかも(^_^;

まあ、オリンピック委員会としては、

断固として拒否するんじゃないかな。

こういう前例は作りたくないしね~。

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●●今回のネオフライト奥義●●

・パクリは、原則自由だ!

・ただし、知財権があるとパクリはNG!

・東京五輪側が有利、ベルギー人側は不利。

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オリンピックのように、

世界的規模になると、

ロゴだの何だのって、

大変ですな。

気を付けたいものです。

それでは、また次回( ^o^)ノ

 

ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川 壮輔

 

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