第228回:3Dプリンタの特許の間接侵害とは?

 

こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔です。

さて、今回は、3Dプリンタに絡んだお話し(^0^)

前回は知財権の侵害のうち、

間接侵害についてお話ししましたね。

今回は、3Dプリンタと間接侵害の関係のお話しです(^_^)b

 

間接侵害というのは、

特許の構成要素の一部の実施であっても、

侵害にしちゃいましょう、

というものでした(^.^)

 

この間接侵害が、なぜ3Dプリンタと関係するんでしょうかね。

こんな特許があったとしましょう。

「本体部と、取手と、フタを備えるコップ。」

いつもと同じですな(^_^;

3Dプリンタによって、このコップをプリントして

販売すれば、どうなるか。

それは、間接侵害ではなく直接侵害(*_*)

もちろん、3Dプリンタによって、

この「フタ」のみをプリントして販売すれば、

間接侵害になり得ますね。

 

でも、ここで言う「3Dプリンタと間接侵害の関係」というのは、

そういう場面ではないんです。

だって、その場合、3Dプリンタ特有の問題としては、

ちょっと弱いですからね(^_^)b

 

それよりも、「3Dプリンタと間接侵害の関係」のなかで、

3Dプリンタ特有の問題として新たに係わってくるのは、

3Dデータの流通の場面の方が大きいです(°0°)

 

3Dデータというのは、

「本体部と、取手と、フタを備えるコップ。」

ではありませんね。

単なる情報の集まりですから(*_*)

なので、3Dデータ自体は、

先ほどの特許に対して、直接侵害とはなりません(@_@)

 

でも、3Dデータの販売自体を侵害として抑えられないと、

特許の保護の実効性に問題が生じてくるかもしれません。

だって、これから、3Dデータの流通が増えて、

容易にマネできるようになる訳ですからね( ゜Д゜)

 

そこで、直接侵害は問えないまでも、

なんとか間接侵害として抑えられないか、

という要請が出てくる訳ですよ(・∀・)

それじゃ~、

「本体部と、取手と、フタを備えるコップ。」

をプリントアウトし得る3Dデータを検討してみましょうか。

 

3Dデータ自体は、特許品であるコップと部品という関係とは言い難い。

物理的な一部品ではないですからね(@_@)

なので、明確に間接侵害だ、とは言えないんですよね(ToT)

ただし、3Dデータは、

「コップを作るためにのみ用いられるもの」

とは言えそうです。

だって、そのコップのデータな訳ですからね(・o・)

ただ、3Dデータをパソコンで読み込むと、

何が出来上がるかというと、

特許品である「コップ」ができる訳ではなく、

「コップを作る装置」が出来上がるんですよね(゜ω゜)

この「コップを作る装置」によって、

特許品である「コップ」が生産されます。

 

3Dデータをパソコンで読み込むと、

ダイレクトに「コップ」ができる、

ということであれば、間接侵害は適用されやすいでしょう。

しかし、ここでは、

ダイレクトに「コップ」が生産されるのではなく、

一旦「コップを作る装置」が生産されてから、

その次に「コップ」が生産されるってことになりますね(@_@)

う~ん、こいつは、言ってみれば、

「間接の間接」

なんですよね。

こういう場合、間接侵害が適用されるのかは、

まだよく分かりません(>o<)

なので、このような3Dデータの販売が、

知財権の侵害となるかどうかは、

これからの判断ということになりそうです(・o・)

 

ただし、間接侵害の適用を容易にしようというのであれば、

特許の表現を工夫することはできるかもしれませんね。

たとえば、こんな特許にしてみます。

「本体部と、取手と、フタを備えるコップを製造する製造装置。」

実は、これなら、

3Dデータをパソコンに読み込むことによって、

特許品である「製造装置」が

ダイレクトに生産されることになりますよね。

なので、この場合には、

間接侵害の適用がより容易になるのではないかな(?_?)

 

以前も申し上げたように、

物の発明の場合、

その「物」だけでなく、「製造装置」や「プログラム」を

権利として抑えるという習慣が今までなかったんですね。

「物」の権利だけで事足りていたからです。

これからの新たな事態に対しては、もしかしたら、

「物」の発明であっても、

「装置」や「プログラム」として

表現する必要が出てくるのかもしれません。

まあ、今後の展開次第ってことになるでしょう。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━
●●今回のネオフライト奥義●●

・3Dデータの流通は、直接侵害ではない!

・3Dデータの流通に対して間接侵害が適用されるかは今後の判断!

・「製造装置」や「プログラム」まで権利取得する必要が出てくるかも!

━━━━━━━━━━━━━━━━━

「物」の発明であっても、

間接侵害を適用させるために、

「製造装置」や「プログラム」まで記載しなければいけないとなると、

結構大変になりますね~。

解釈だけでなんとかなるなら、そっちの方が良いかな(^_^;

それでは、また次回。

 

ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川 壮輔

 

特許無料レポートお申し込みフォーム

業界初の”エンタメ系”実践特許術!
「特許専門の弁理士が、あなただけにコッソリ教える実践特許6つの秘訣!」PDF A4:53ページ


*
*
メールアドレス*
コメント