第95回:タイムマシンは特許になるの?

こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔 です。

さて、今回は、エンタメ発明のお話し。
人間、昔から誰もがあこがれる、夢の乗り物。
そう、タイム・マシーン。

果たして、タイム・マシーンって、特許取れるんでしょうかね~。
っていうか~、そもそも出願されているのかどうか、
知りたいですよね。

はい、調べてみました、タイム・マシン特許。
特許データベースを検索してみると、11件ヒットしました。

これらの中で、とある案件(特開2005-102494)
を見てみましょう。

発明の名称は、
「一般相対性理論応用加速度運動利用重力制御タイムマシン」。

なんか難しそうですが、
バックトゥーザフューチャーっぽい世界観ですね。

要約の課題欄を引用してみると、こんな感じです。
「従来のタイムマシン理論のワームホールは
現代科学水準では造れずタイムトラベルは不可能だった。」

タイムマシン理論に、ワームホールというのがあるらしいですね。
ワームホールというのを作れば、タイムトラベルができる
ということなんでしょうか。

でも、そのワームホールってヤツは、
現代科学水準では造れなかったということです。

それでは、どうやって、
そのワームホールを作れるようにしたんでしょうか?

具体的な解決手段を
要約の部分から引用してみましょう。

「一般相対性理論を応用した重力を加速度運動で作り出し、
その重力空間では時間の進み方が遅れるのを利用して
重力の強弱で未来過去の特定時間を調節し
重力空間から一般空間に出ると未来、
一般空間から重力空間に入ると過去に着くことを可能とした。」

とても、難しい物理のお話しですな。
ただ、ワームホールうんぬんは置いといて、
何やら重力を調整することによって、
過去とか未来に行けるようになるってことらしいですね。

ちなみに、特許庁からは、拒絶されています。
それに対して、出願人は、ご自分で意見書で反論しています。

大した方ですね、とてもチャレンジングです。
発明でひと山当てようっていう場合、
こういうパワーって、とても重要なんです。

この出願人のこのチャレンジ精神は、
ぜひ見習っていきたいですね。

さて、こういう夢の案件が出願されると、
特許庁の審査官は、どうやって拒絶するか分かりますか?

もう、お決まりの、
「発明に該当しないので、29条1項柱書き違反」
となります。

29条っていうのは、特許法という法律の条文番号です。

なお、発明っていうのは、
数学や物理の法則などによって、
理論的にガッチリと説明できるモノでないと
いけないんですね。

もちろん、日用品発明とかは、簡単なので
あえて数学や物理の法則を使って説明する必要は無いですけどね。

でも、タイムマシーンみたいな夢の装置になると、
ちゃんと理論的に整合しているかが説明できないと、
「発明じゃない」
ってことになります。

例えば、「空飛ぶじゅうたん」なんかも一緒です。
「人間を乗せたまま、宙(ちゅう)を浮くじゅうたん」
とか書いて、出願してみても、
理論的にがっちり説明できない限り、
「発明じゃありませんね」
と言われることになります。

特許の世界は理屈の世界です。
構造や動作原理を、言葉で説明できないとイカンのですね。

そのような構造や動作原理を発明者から
聞き出して、言葉で書類にまとめるのが、
弁理士のお仕事になりま~す。

それでは、また次回。

 

ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川壮輔

 

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