第146回:アップルのオープンクローズ戦略とは?Part2

こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔 です。

さて、今回は、携帯OSの続きですね。 前回は、グーグルのお話しをしました。

今回は、アップルのビジネスモデルと オープン・クローズ作戦を見ていきましょう。

アップルは、iOSをオープンにしていませんね。 つまり、OSをクローズにしています。

この点は、グーグルとは対照的ですね。 グーグルは、利益の源泉がネット広告にありますから、

普及のためにアンドロイドOSをオープンに していました。

一方、アップルがiOSをクローズにしている ということは、他社の模倣から機器を保護する 狙いがあります。

参入障壁を築いている訳ですね。

ちなみに、分解調査を行う米国のある企業によって、 iphoneのコストが推定されています。

iphone1台におけるアップルの粗利は、約25,000円、 粗利益率は、なんと53%だそうです。

iphoneみたいな電子機器で、粗利益率53%なんて、 普通はあり得ませんよね。

また、iphoneの累計販売台数は1億台を超えてますから、 iphoneの販売だけで、2~3兆円の粗利益を稼いでる ことになります。

そんな、まさにドル箱商品たるiphone、 そりゃ~、アップルだって守りたくもなります。

さらにアップルがスゴいのは、機器の販売だけでなく、 機器を組み込んだサービスシステムを 作り上げたことにありますよね。

iTunesのような、ソフトウェアをダウンロード させる一大マーケットを築いてしまいました。

機器が売れれば、マーケットも大きくなり、 マーケットが大きくなれば、機器も売れるという 相乗効果ですな。

ただし、何でもクローズというのは、 今の時代、マイナスの面もあります。

iphoneのような新しいコンセプト製品の場合、 製品を導入してから、成長期に至るまでの間に 人気が出ずに消えてゆく可能性もあるわけです。

正直、わたし、iphoneを初めて見たとき、 これは売れんだろう、と思いました。

ちょいとデカすぎるって感じ。 おそらく、そう思ったのは、わたしの他にも、 たくさんいるわけで、ここを越えないと、 新製品は、導入期から成長期に移行しません。

このいわゆる”死の谷”と言われる 一線を越えられないと、 谷底に真っ逆さまというわけですな。

なので、iOSをオープンにして、 他メーカーの参入を促して、 一気に”死の谷”を越える、という 作戦も充分あり得たはずです。

あとは、アプリで稼げばいいわけですからね~。

でも、アップルはそうしませんでしたね。 それは、アップルの伝統と、iphoneに対する自信と、 iPodによるマーケットの下地作りが あったからかもしれません。

で、アップルのオープンを見ると、 まずは、ソフトのiTunes。

ユーザーに無料で配布しましたね。 あとは、アプリ開発のための技術リソースを オープンにしました。

これによって、世界中の人が、iOS用の アプリを開発できるようになりましたね。

これらはすべてiphoneの普及を促進するのに 大きく貢献しています。

もちろん、ユーザーがアプリなどを購入すれば、 チャリンと音を立てて、アップルにも キャッシュが落ちていきます。

以上が、アップルのビジネスモデルと オープン・クローズ作戦です。

さてさて、問題を前回に戻して、 ヒューレット・パッカード(HP)の webOSのオープン化です。

なぜ、この時期、HPは、webOSを オープン化したんでしょうね。

webOSをオープンにするということは 狙いは普及でしょう。

HPのwebOSを組み込んだ機器が 今後、いろんな会社から出てくるのかもしれません。

ただ、HPには、グーグルのネット広告のように、 機器を普及させて自社利益を増大させるような ネタがないですよね~。

また、アップルのように、機器を普及させて アプリで稼ぐようなマーケットもないですし。

そうなると、HPのwebOSオープン化の 狙いが、実はよく見えないんです。

単にHPの名前を広めて、存在感を大きくさせる ことによって、HP製品の購入につなげよう、 というだけだったら、今ひとつ芸がないですし。

まあ、アメリカの名門・HPだけに、 何かアッと驚かせるような仕掛けがあったら 楽しいんですが。

これからのHPの動きに要注意ですな。

それでは、また次回。

 

ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川壮輔

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